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商品番号
1785
商品コード
05090128
JANコード
9784023310810
●朝日新聞出版 ●222ページ

木嶋佳苗の裁判を100日間通して傍聴しました。公判は全て36回。そのうちの33回を傍聴しました。

もともと傍聴記を書く予定はなく、ただ木嶋佳苗を知りたく初日の公判に行きました。600人を超える傍聴希望者の列で、当然傍聴券はあたらずすごすご帰宅したところ、週刊朝日の編集長が私が木嶋佳苗に興味を持っていると知り、「傍聴記を書かない?」と電話を下さりました。

そこから・・・人生が狂いました(笑)。2012年の1月10日から4月13日の判決の日まで、木嶋佳苗のことしか考えられない日々が続きました。毎日毎日毎日、夢の中でも木嶋佳苗のことを考えました。


そもそも私がこの人に興味を持ったのは、「今までみたことがないほど、まるで共感も同情も持てない女性犯罪者(本人は殺人は否定していますが詐欺は一部認めているのでこう記します)」だったからです。

罪を犯してしまった女性に対して、例えそれが我が子を殺す母であっても、夫を殺す妻であっても、「もし私がその立場だったら・・・」と共感を寄せられる部分は必ずある。でも、木嶋佳苗にはそれが、まるでなかったのです。彼女が男性に”援助してください””支援してください”と、”学生のふり”をして”お金を求めた”ことなどを知っていくにつれ、彼女の生い立ちや、彼女のセックスについて気になりました。どんな男性観をもち、それはどんな時代背景があったのだろうか。


木嶋佳苗は1974年生まれで、1993年に上京しました。その彼女が見た「東京」はどういうものだったのか。なぜ彼女は、短期間で一億円以上ものお金を複数の男性たちから貢がせることができたのだろうか。男性は彼女に何を求めたのだろうか。彼女は男性にどんな感情を持っていたのだろうか。

知りたくて知りたくて、たまりまりませんでした。

そういう思いで傍聴を始めました。


私はこれまでセクシュアリティについて書くことが多かったのですが、時々朝日新聞出版「アエラ」の現代の肖像という人物ルポを手がけてきました。三ヶ月間、みっちりと対象にはりついて取材していくルポです。今回木嶋佳苗を書けたのは、アエラで人物ルポを手がけさせていただいたことが大きかったと思います。本人と話せることは一度もなかったけど、とにかくしつこくしつこくしつこく取材をしようと思いました。彼女が会った人、彼女が関わった人にできるだけ会っていこうと動きました。生まれ育った別海にも行き、誰も話を聞けなかった方たちに話を聞くことができました。傍聴記に加え、人物ルポとしても読めるものを書きたいと思いました。とにかく、木嶋佳苗に近づきたい、理解したいという思いでした。


木嶋佳苗とはどんな女なのか。

彼女の事件を通して、何がみえてくるのか。

そんなことを、考えながら書いた本です。

どうぞよろしくお願いいたします。

北原みのり


※ラブピースクラブでご購入いただいたお客様には北原みのりのサイン本でお送りできます。但し、通常商品よりもお届けにお時間がかかりますこと予めご了承のほどお願いいたします。

レビュー

5
女ってなんだろう?
投稿者:雪
投稿日:2024/11/05
再読。事件当時たまたまテレビで知って「女の人でもこんな事件起こすんだ。ヘー」「男は加害者女は被害者」と幼少から母に言い聞かされていたのでそんな感想で特に興味なし。あの事件の人かと購入。読むのが怖くて数年放置。読んでいくなかで木嶋佳苗に夢中になった。自分のなかの女の意味を考えた。私はずっと女になりたくて苦しんで生きていた。当時のカウンセラーにこの本とこの想いを訴えたら「あなた女ですよ。すごく女です」との返事。どこがどう女だったのだろう???? ださい、なんとかしろよと笑われ馬鹿にされ続けていたのがいつの間にかおしゃれな人と言われるようになったけど。ハンバーグとアップルパイ手作り出来ない自分は女じゃないと焦ったりしたけど。とにかく周りの女性と比べて自分は女じゃないと苦しんでいた。他の女性の話がさっぱりわからないし。笑われるし。佳苗の堂々した態度に読みながら憧れた。優雅な仕草やきれいな声を生で聞きたいと思い想像した。再読して、考える隙を与えない、自分がただしく金を振り込まない相手を厳しく責める要求する は詐欺のやり方としてやはり上手いのですね。金を取り返さずとにかく逃げる が正したかった今後の身の安全として とにかく不気味で関わりたくないと離れた男性もいた。自分のおかしい変だ危ないという直感を信じる。は詐欺対策として勉強になった。脱コルというものを知り、今は坊主でもメンズ服でもスカートでなくても自分は女である。に落ち着いている。人それぞれなのでわからないはわからないでもうよい。老いていく身体と向き合って穏やかに自分軸で好きに生きていけばよいと思えるようになった。再読して新たに思ったのは裁判て何?裁判所て何?という自分のなかでの問題提起でした。自分の女について問う考えるには良い本だと思います。
一気に読んでしまいました
投稿者:ぴにょ
投稿日:2012/07/05
『毒婦』。
読みました。
吸い込まれるように、読みました。
子育ての合間、夫がいる前、産婦人科の妊婦健診の待合など、
一気に読んだといっても、数回に分けてですが。
読みました。女として、妻として、嫁として、いろんな
場面でこの本を読んだ後、残ったのは・・。
木嶋佳苗を書かれたこの本からの、
オンナとしての自分への問い・・でした。
まさに、私も援交時代に中高生だった世代。
オンナが生きていくために、いろんな価値観の間を
揺れ動きながら、苛立ちながら、今まできたけれど。
私は、一体何を望んでここまで来たのだろう。
そして、いちオンナとして何を望んでいくのだろう。
頭が締め付けられると同時に、今の生活と自分を冷静に
見つめている・・そんな状態にいます。
彼女の事件、そして彼女の事件を取材した北原さんの
本から、読む前には想像しなかった感情と疲労と、
奇妙な冷静さが残って・・びっくり。
木嶋佳苗に共感するでも、同情するでもないし。
嫌いでもないなあ。好きでもない。よくわからない。
そして、オンナとして・・。
自分を「振り返る」でもなし。表現しづらいですが、
いろんなものが見える一冊となっています。
ぜひご一読を!
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