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LOVE PIECE CLUB JOURNAL vol.7 〜罪?恥?セルフプレジャーの小さな歴史〜 PUISSANTE from France

LOVE PIECE CLUB JOURNAL vol.7 〜罪?恥?セルフプレジャーの小さな歴史〜 PUISSANTE from France

LOVE PIECE CLUB JOURNAL

これは、世界中の女ともだちから、あなたへ届くラブレター。


わたしたちLOVE PIECE CLUBは、女性が自分を大切にし、安心して性を楽しめる世界を願って、30年にわたりフェムケアやセックストイを届けてきました。

この連載では、世界中から出会ったブランドたちの魅力と、その奥にある“思想”や“感性”を少しずつ紐解いていきます。




第7回はフランスのトイブランド「PUISSANTE」が送るセルフプレジャーの歴史についてのお話です。


PUISSANTEでは、性のウェルネス、とりわけ女性のセルフプレジャーに情熱を注いでいます。

私たちは、罪悪感や恥じらいから解き放たれた、好奇心と楽しさ、そしてパワーに満ちたセルフプレジャーを応援しています。

今回は、セルフプレジャーにいまだ残るスティグマ(偏見やタブー)がどこから来たのかを探るべく、歴史をさかのぼってみることにしました。

「どうして私たちの“ひとりの時間”は、罪悪感や恥のベールで包まれてきたのか?」
──そんな問いを手がかりに、女性のセルフプレジャーの小さな歴史を一緒に見ていきましょう。

はるか昔の話から…

女性のセルフプレジャーに関する記録は、残念ながら中世以前にはあまり見つかっていません。
「ある程度容認されていた」という説もあれば、「触れてはならない話題」とされたという説も。
ただ、当時から“大きなクリトリス”には特別な関心が寄せられていたようです。それは、“抑えきれない性欲の象徴”とみなされていました。

紀元前1世紀、医師ソラノス・エフェソスは、クリトリスの大きさを小さくするための処置を推奨しています。
「目立たないようにすべき」という考えのもと、ピンセットで挟み、スカルペル(メス)で先端を切除するという恐ろしい“治療”が行われていました。
当時はクリトリスが血流によって勃起するという知識がなく、「見えるのは異常」とされ、“矯正”対象とされたのです。こんな歴史は遠い過去…のはずですが、世界の一部では今もなおクリトリスの切除(FGM/女性器切除)が現実として続いています。

PUISSANTEは、女性器切除に反対し活動する「Les Orchidées Rouges」という団体のパートナーとして、この問題に取り組んでいます。



中世・ルネサンス時代のセルフプレジャー

中世になると、宗教がこのテーマに深く関わるようになります。
有名なのが“オナンの罪”の話。
旧約聖書に登場するオナンは、兄の死後、義姉と結婚させられますが、性交を拒み、射精せずに“外に出す”ことで妊娠を避けました。この行為に神は怒り、オナンを死に至らせます。

聖書の中に明確な理由は書かれていませんが、「妊娠を目的としない性」「快楽だけの性」として解釈され、のちに“オナニズム(セルフプレジャー)”という言葉の語源となりました。

当時の性は「種の保存のためだけに許されるもの」。性欲は“人の意志だけでは抑えられない危険なもの”とされ、自己コントロールを強く求められました。当然、セルフプレジャーは“禁じられた行為”として、多くの道徳書に「罪」として書き記されます。
中には「年1回だけ性交が許される」とまで教える教会も。当時、セルフプレジャー=“自分勝手な罪”というレッテルが貼られていたのです。🔥

一方で、魔女狩りや異端審問において「魔女が悪魔と性的関係を持った」とする記録はありますが、セルフプレジャー自体が直接的な迫害の理由だった証拠は多くありません。ただ、「女性の性」はこの時代から、抑圧と恐怖の対象になっていたことは確かです。

“自己汚染”という罪:オナニア

18世紀、匿名で出版された英語のパンフレット『オナニア:自己汚染という忌まわしき罪』が大ヒットします。この本は、セルフプレジャーによる“恐ろしい健康被害”を煽り、大衆に衝撃を与えました。

失明、てんかん、精神疾患、不妊、早死に…
「触れるとこうなる!」というセンセーショナルな内容で、迷信を“事実”として広めたのです。

ここで初めて、女性も男性も“同じ罪”を負うものとされました。この時代、挿絵には若い男女がセルフプレジャーによって“老化と衰弱”していく様子が描かれています。この頃、哲学者カントも「道徳法則に反する」と批判し、ルソーは「精神的な暴力」とまで表現。彼らにとって、セルフプレジャーは“自分を汚す行為”であり、自殺以上に罪深いこととされていたのです。

…いやいや、ちょっと大げさじゃない?🙄



ヴィクトリア時代の暗黒期
「もうこれ以上、セルフプレジャーが責められることなんてないよね?」

──そんな甘い期待も虚しく、やってきたのがヴィクトリア時代。

当時、「ソロの快楽」はあらゆる道徳・健康問題の原因とされ、特に男性は“治療”対象に。
軟膏、スパイク付きのリング、ファスナーのないパンツ、電気ショック装置…。さまざまな“矯正”器具が発明されました。

一部の女性に対してはクリトリス切除が処方され、冷たい水での腟洗浄や冷水浴も“治療”とされていました。ちなみに「毎日のシャワー習慣」も、この時代の“衛生管理”の名残だとか。

この“女性のセルフプレジャー=心と体に悪い”という考えは、精神医学にも深く浸透します。
そして登場するのが、フロイト。
彼は「クリトリスの快感は未熟」とし、心理的未熟さと結びつけました。一方で、この頃に“ヒステリー治療”用としてバイブレーターが開発されます。もちろん「女性に快楽を与えるため」ではなく、あくまで“治療器”として…。

──うーん、私たちのCocoのご先祖様は、全然楽しくなかったのね。👎



性の解放とともに

そして、ようやく時代が変わり始めます。性の解放運動が、“快楽”を人生の中心に取り戻したのです。👏

1992年、アメリカの人気ドラマ『となりのサインフェルド』で“セルフプレジャー”がテレビで語られ、タブーを打ち破りました。
しかしその2年後、当時のアメリカ公衆衛生局長ジョスリン・エルダーズは「セルフプレジャーは安全な性行為であると教えるべき」と発言し、解任されます。

今もなお、セルフプレジャーには罪悪感や恥がつきまといがち。
でも、少しずつ意識は変わりつつあります。
“自分の体を知ること” “自分で自分を満たすこと”が、タブーではなく、自然で当たり前のこととして語られるように。


セルフプレジャーの歴史は、性と社会の歴史そのもの。
道徳や健康、権力といったものと複雑に絡み合いながら、語られ、制限されてきました。
でも本当は、セルフプレジャーは心にも体にもいいこと。
自分を楽しみ、自分を知り、自分を大切にするための、とても大事な行為なんです。❤️


次回の記事もお楽しみに!


📗元記事 https://puissante.co/blogs/blog/histoire-masturbation-feminine